○参考人(小田中聰樹君) 専修大学の小田中でございます。 私は、四十年近く、主として平和主義、民主主義、基本的人権を厚く保障する憲法の理念及び論理に即して刑事法の研究を行い、思索を重ねてまいりました。また、個人的には、太平洋戦争開始直後に国民学校に入学し、敗戦までの三年半近く戦争賛美の軍国主義教育を受けたという、そういう体験を持っております。 本日は、このような研究、思索、体験を踏まえながら、イラク
○小田中聰樹君 私は、刑事訴訟法という分野で研究してきた者なんですが、抽象的な法の解釈がどのようにして発展していくのかといいますと、通常は、やはりケースの中で生まれてくるのですね。ある事件に直面し、裁判官あるいは裁判所は、良心に従い、独立してぎりぎりまで考える。その中で、法の解釈というものが大きく動いていくことがあるわけです。その状況を考えてみますと、憲法の場合でも全く事柄は同じだろうというふうに思
○小田中聰樹君 私は、我が国の憲法において、憲法改正には限界があるというふうに考えています。このことは、日本国憲法みずからが、例えば基本的人権については、永久の権利という、永久性、恒久性という言葉、これをいろいろなところで使っていることからも明らかなんですが、原理的に考えてみても、憲法改正には、その憲法の基本原則を否定するような改正は許されないという意味において、限界があると考えています。したがって
○小田中聰樹君 私は、これまで三十数年間、刑事訴訟法や司法制度論を中心に研究し、それとのかかわりにおいて、人権及び憲法のあり方についても考察を重ねてまいりました。本日は、そういう立場から意見を述べたいと思います。 きょう述べたいことは三点です。第一は、憲法調査のあり方についてであります。第二は、憲法の思想的、理念的構造の体系的一貫性についてであります。第三は、憲法の現実的機能、役割と憲法擁護の現代的意義
○参考人(小田中聰樹君) 刑事、民事や少年の問題について改善すべきことは本当にたくさんあると思います。例えば刑事の問題一つとってみても、代用監獄の問題とかあるいは取り調べの問題であるとか、あるいは証拠の扱い方の問題ですね、伝聞法則などというものがありますけれども、その例外が非常に広く現在運用されているわけですが、そういう運用も含めた問題が多々刑事にはあります。 もう一つつけ加えさせていただければ、
○参考人(小田中聰樹君) 今の御発言、私も問題意識は全く同じなんです。 一方において社会的な変化の要請が司法に対してあり、それがかなり今動いてきているという事実があるわけですが、他方において、もう絶対にこれは動かすことができないと私は思うんですが、司法には司法の固有の任務といいますか特殊な任務というものがあって、それは私が先ほど申しましたように、基本的人権の擁護、例えば裁判の利用という問題について
○参考人(小田中聰樹君) 小田中でございます。 私が本日述べたいと思ってまいりましたのは、三点でございます。 第一点は、司法制度改革論議を行うに当たって最低限共有されるべき基本的な視点及び方法論についてでございます。第二点は、この基本的な視点及び方法論に基づいた場合に本法案に対して生ずる疑問でございます。第三点としては、憲法的司法制度充実強化に向けての課題でございます。 まず第一点から申し上げたいと
○小田中参考人 小田中でございます。 ごく一般論、抽象的なレベルで申しますと、地家裁支部の適正配置の問題というのは、これは検討に値する問題でありましょうし、また場合によっては必要な改革を加えるということが出てまいりましょう。ただしかし、問題は中身だと思うわけでございます。検討する際の姿勢といいますか、もっと正確に言えば理念、目的、それからさらには検討する際の基準の問題、さらには結果ないし影響をどう